1. Matrixのセキュリティ

1.1 Matrixの暗号技術

MATRIXは、128ビットの秘密鍵を安全に格納するハードウェアとソフトウェアから構成されるシステムです。

ソフトウェア ハードウェア
ドライバ
API
ユーティリティ
MATRIXハードウェア

MATRIXハードウェアは、LPTとUSBタイプがあり、PCのLPTポートかUSBポートに接続します。MATRIXハードウェアを利用する前に、ユーティリティプログラムで MATRIXに秘密鍵やメモリに値を書き込むなどの設定を行います。 設定したMATRIXハードウェアを利用するアプリケーションプログラムは、MATRIX API 関数を呼び出します。

開発者は、付属ユーティリティやAPIを使って 自由に任意の秘密鍵をMATRIXに設定できます。一度MATRIXに書き込んだ秘密鍵は、書き込みを行った開発者も、秘密鍵が設定されたMATRIXを配布されたユーザも、MATRIXから読み取ることは不可能です(上書きはできます)。

MATRIX ハードウェアは、書き込まれた128ビットの秘密鍵を使って、TEA 暗号アルゴリズムに基く秘密鍵暗号機能を提供します。これは、MATRIX ハードウェアにデータを与えると、ハード内部で暗号化が行われ、暗号化後のデータが返されるというものです。 逆に、暗号化されたデータを与えると、復号化後のデータが返されます。 この方法では、秘密鍵が通信されることはなく、秘密鍵で暗号化されたデータがやり取りされますので、たとえデータが盗聴されたとしても、秘密鍵は安全です。

MATRIXはアプリケーションプログラムが利用できるメモリフィールドがあります。機種によってサイズは異なりますが、開発者が任意の数値を読み書きするために利用できます。

MATRIX API 関数はドライバ経由で MATRIXハードウェアとやり取りを行います。 APIからMATRIXまでの内部の通信は、暗号化されてセキュリティが確保されています。

秘密鍵暗号とは。。。

( http://www.jtw.zaq.ne.jp/kayakaya/new/kihon/text/kagi.htm)

暗号化と復号化に同じ鍵を用いる暗号方式。暗号文の送信者と受信者で同じ鍵を共有する必要が あるため、「共有鍵暗号」「共通鍵暗号」とも呼ばれる。暗号文を送受信する前に、あらかじめ 安全な経路を使って秘密の鍵を共有する必要がある。

(メリット)
暗号化/復号の速度が速い。

(デメリット)
鍵の受け渡しが問題(鍵が盗まれると,その鍵で復号してしまう)。
相手の数だけ,鍵を作成する必要がある。不特定多数に不向き。

秘密鍵暗号方式は,家の鍵と同じイメージ。ドアを閉める鍵と開ける鍵は同じ。 鍵を落とさない(盗まれない)ように注意しなければならない(秘密にしなけれ ばならない)。盗まれてしまうと,その鍵で開いてしまう。家族の人数分,鍵を 作らなければならない。

( http://computers.yahoo.co.jp/dict/security/encryption/secret/420.html

秘密鍵暗号とは、データ暗号化方式の1つ。秘密鍵暗号方式では、発信元でのデータの暗号化と、 受信先でのデータの復号化に同一の鍵(ビット列)を使用する。共通鍵暗号とは、暗号化と 復号化に同じ鍵を用いる暗号方式です。暗号文を送受信する前に、あらかじめ安全な経路を使って 秘密の鍵を共有する必要があります。

1.2 セキュリティ方策

MATRIXにはセキュリティを高めるための方策が施されています。 以下に5つの方策を紹介します。
■マスターキー( MKシリーズ )
Matrix には ML とMKシリーズがあります。 MKシリーズは、書き込みにおけるセキュリティを高めたタイプです。 MKシリーズにデータや秘密鍵を書き込むには、ユーザ固有のマスターキーが必要です。 Matrixとは別途 マスターキーをご購入ください。このマスターキーが接続されていなければ、MKシリーズにデータを書き 込めません。マスターキーの持ち主だけが、MKシリーズに書き込みを行えます。
■ユーザコード
MLシリーズはマスターキーがなくても、Matrixに秘密鍵や内臓メモリに書き込むことができますが、 無条件の書き込みが許されているわけではありません。

Matrixの初回購入時、ユーザには固有のユーザコードが割り当てられます。以降、ユーザは同じ ユーザコードを使いつづけることになります。 Matrix API 関数を呼び出すときには、Matrix ハード内に持つユーザコードと一致するユーザコードを指定しなければなりません。

評価版のユーザコードは "1234" 固定で、ユーザ固有のコードは割り当てられていません。 ユーザ固有のユーザコードは、通常発注の初回時に割り当てられます。
■暗号化された通信
PCとMatrixの間の通信は暗号化されています。転送前に暗号化され、PC側とMatrix側で復号化されます。 暗号アルゴリズムは絶えず変化します。
■128ビット秘密鍵
秘密鍵は一度Matrixに書き込むと、読み取ることはできません。転送されたデータは、Matrix内部で秘密鍵 を使って暗号化・復号化されます。
■ハッカー対策ロック機能
Matrix APIを使ってMatrixにアクセスするにはユーザコードを指定しなければなりませんが、悪意をもった ハッカーが、適当なユーザコードを設定して API 関数を連続発行することでユーザコードを探し出そうと するかもしれません。Matrixのハッカー対策ロック機能でユーザコードのスキャンを防ぎます。

誤ったユーザコードを設定してMatrix APIを連続して呼び出すと、ハッカー対策ロック機能が有効にな ります。ロックが有効になると、Matrixの機能は完全に停止します。一度ロックした Matrixに、正しい ユーザコードを指定してアクセスしても作動しません。

ロックされたMatrixを正常な状態に戻す(アンロックする)には、マスターキーが必要です。マスターキーは Matrix本体とは別途購入ください。